照明取り付け用の設備・『引掛シーリング』の種類と耐荷重

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引掛シーリングの耐荷重は基本5kgまで、条件付きで最大10kg

爪だけで吊った場合は5kg

照明器具側のシーリングキャップ(プラグ)の端子は鉤爪状になっています。

これを天井側のシーリングボディ(ソケット)に差し込み、規定の方向に捻ると「カチッ」という手応えと共に固定されます。
このボディ・キャップがロックされた状態では、照明器具は端子の鉤爪のみで天井に吊られています。

この鉤爪のみで吊られた状態で、耐荷重が最大5kgです。

ハンガーで吊った場合は10kg

引掛シーリングボディの中には『ハンガー』と呼ばれる照明器具との接続を補強するパーツを備えているものもあります。

このハンガーを併用することで耐荷重の最大値が上がります。

端子の固定とハンガーによる補強により、耐荷重は最大で10kgになります。

大前提としてシーリングボディが天井に適切に取り付けられていること

ここまでの耐荷重の最大値はあくまでも引掛シーリングのボディとキャップの接続部分への荷重のみを考えた場合の話となります。

引掛シーリングボディは天井に設置されています。
このボディが適切に天井に設置されていることは、大前提となっています。

引掛シーリングは『固定器具』&『コンセント』

こんにちは。
『居候Webデザイナー』から『引きこもりWebライター』へと、華麗にジョブチェンジしてしまった枕木カンナです。

今回のネタは兼ねてから気になっていた照明接続器具『引掛シーリング』についてです。

一般家庭の天井の照明は、多くの場合『引掛ひっかけシーリング』と呼ばれる配線器具を介して設置されています。

引掛シーリングは電化製品でいう『コンセント』と同じ機能の器具で、照明器具を天井から吊りつつ、電源供給をも担っています。

引掛シーリングがあるおかげで、電気工事士の資格がない人でも自分で照明器具を交換することができます。

天井側に付いているソケットの方を『引掛シーリングボディ』、照明器具側に付いているプラグの方を『引掛シーリングキャップ』と呼びます。

引掛シーリングボディ・引掛シーリングキャップは、それぞれ複数の種類・形状がありますが、ソケット部・プラグ部の規格は同じであるため基本的にどの組み合わせでも「電気的な規格上は」接続可能です。

5種類の引掛シーリングボディ

主な引掛シーリングボディは5種類です。

呼び名に関しては、一般的な名称なのか商品名なのか分かりませんが、複数あるものもありますので、できる限り列挙します。

角形・1種類

①角形引掛シーリング

耐荷重:5kg

丸型・2種類

②丸形引掛シーリング

別称:丸型露出引掛シーリング

耐荷重:5kg

③丸形フル引掛シーリング

別称:ツバ付き丸型引掛シーリング

耐荷重:専用器具と接続で5kg以上

埋め込み型・2種類

④丸型埋込引掛シーリング

別称:引掛埋込ローゼット

耐荷重:ハンガー利用で最大10kg

⑤フル引掛シーリング

別称:
フル引掛ローゼット
ツバ付き埋込引掛シーリング
ツバ付き埋込引掛ローゼット

耐荷重:ハンガー利用で最大10kg

耐荷重の違い

ハンガー併用

④と⑤の埋め込み型のボディには外縁に金属のパーツが見えます。


これが『ハンガー』と呼ばれるパーツで、キャップとのロックと併せてネジでも固定することで最大耐荷重が10kgまで拡張されます。
当然ですが、照明器具側もハンガーに接続するための構造を備えている必要があります。

特殊ギミック

③と⑤は名称に”フル”や”ツバ付き”と入っています。

共に接続面のツラの外縁は少し張り出した形になっています。
これを”ツバ”と呼ぶようです。


おそらく、キャップ側にも爪状の仕掛けがあり、接続するとボディ側のこのツバに爪が引っ掛かることで、耐荷重を拡張するんだと思います。
「特殊ギミック」を機能させ耐荷重をアップさせるには、キャップ側(照明器具側)も”フル”対応のキャップである必要があります。
具体的な耐荷重に関しては製品の説明書に従ってください。

実は、貌製作所では、実際に”フル”の引掛シーリングボディと対応する”フル”キャップを備えた照明器具を製作した記録が無いらしく、寺島に聞いても断定的な説明は得られませんでした。

おそらく、
・”フル”対応のキャップが一般的に出回っている訳ではなく、大手メーカーが作る既製品の中に耐荷重を上げる為の特殊ギミック引掛シーリングを用いた照明器具があったのではないか
・その製品がかなり数の出た普及品だったために、照明器具の選択の自由度を確保できる、より汎用性の高いシーリングボディとして、特殊ギミックにも・・対応する”フル”系のボディ側が一般に普及していったのではないか
と、想像の域を出ません。

ただ、”フル”系ボディに非”フル”なノーマルキャップも規格上問題なく接続できますので、一応ある程度説得力のある想像ではあります。(もちろんこの場合、耐荷重は拡張されず、5kgのままです。つまり逆に、非”フル”ボディに”フル”キャップはNGのはずです。そもそも構造上付かないとは思いますが、特殊ギミックを必要とした照明器具な訳ですから耐荷重的に問題がある可能性大です。)

すいません、結局はっきりしたことは分かりませんでした。

現場で”フル”系のボディが設置されているのを見かけることは、結構あるらしいんですが…。

照明器具を製作する側としては5kgが大きなライン

貌製作所・寺島は、自分で引掛シーリング仕様の照明器具の企画や設計をする時、重量が5kg以内に収められるかどうかを非常に重要な仕様の要件と考えているようです。

5kg以内の照明器具であれば、ユーザーは「取付できるのかできないのか」で迷うことはありませんし、そもそも引掛シーリングボディの耐荷重に違いがある事を知らないユーザーが事故を起こすこともありません。

特に、後者は重要で、基本的に一般ユーザーが照明器具の専門知識がないことは罪でも怠慢でもなく、むしろ「当たり前のこと」です。
素人の私が知らなかったこともそんな驚くような事ではないはずです。

そんな一般ユーザーが気軽に照明器具を交換できることこそが引掛シーリングの最大のメリットなわけですから、その交換に際してユーザーが「間違い得る」要素は出来るだけ取り除いておかなければ、メリットが大きく削がれてしまいます。

照明器具を製作する側の心情としても、製作した照明をより多くのユーザーの選択肢にねじ込みたいと考えるのは当然ですから、汎用性の高い『5kg以下』は照明器具の重量として強く意識するラインとなります。

本当に面白い引掛シーリングの話はこれじゃない

そもそも私が引掛シーリングに興味を持ったのは、「え⁉︎もしかして意外と面倒くさい?」という驚きからでした。

引掛シーリングという仕組み自体が『コンセント』としては規格が共通ですから、当然どんな照明器具でも取り付け・取り替えが可能なのかと思っていました。

ところがある時、貌製作所・寺島達との何気ない会話の中で、『固定器具』としてはハンガーの有無や特殊ギミックの有無などによって複数種類に分かれていて、しかもその種類による照明器具との適合条件が案外細かい事を知りました。

しかも、条件が合わないと「付かない」ならともかく、「付いてしまうが非常に危険」という組み合わせまであると言うのだから超驚き、ってか若干引く。

今回は、その条件を整理する意味で引掛シーリングボディの種類と耐荷重についてまとめてみました。

が、個人的に「私のような素人に必ずしも親切とは言えないような設備が本当に必要だったのか?なぜここまで普及したのか?」と言う疑問は未だ解消されていません。

「引掛シーリングって誰得?」についてはまた記事を改めて書きたいと思います。